VCOテストというか実験というか初歩の初歩

さてさてVCOの実験を始めます。ここでいきなり既存の回路図を組み立ててみて、出来たとか出来ないとかそういう試行錯誤でもいいんだろうけど、とりあえずはもっと初歩的なところからやってみようかと思います。間違いとか、とんでもないことをしているようなことがあったらぜひともご指摘ください。
VCOとはVoltage Controled Oscilatorの略で、つまりは電圧で制御される発振器のこと。シンセサイザーでは鍵盤やLFOなどから出力されるCV(制御電圧)に従って発振音を出力する、音の幹の部分であり、普通、複数のCV入力端子と波形の出力端子が装備されることになる。出力される波形はのこぎり波、矩形波が主だけど、その他の波形を出力するものも多々ある。
VCOは大まかに分けると対数変換回路、発振回路、波形変換回路で構成される。対数変換回路では鍵盤からV/octでやってくる電圧を実際の演奏音程に合うように対数変換し、電流に変換して出力する。発振回路ではコンデンサの充電・放電を利用してのこぎり波を作り出す。波形変換回路では作り出したのこぎり波を変換して別の波形を生成し出力する。
うむ、説明できた。
なにはともあれまずは至極単純な発振回路を組み立ててみました。
http://www.chienowa.org/ca3080/0719-001.gif
このような回路です。LITZHAUSEさんのページ(http://www02.so-net.ne.jp/~litzhaus/)のVCOから一番単純な発振部分を抜き出したものです。GND〜+間で発振させた波形を最後マイナス側に引っ張ってる臭いけど、なんだか恐いんでケツにコンデンサを入れました。これに直接CVを入れてみます。電圧-電流変換回路も、もちろん対数変換回路も乗ってないのでまともに音程は出ないと思うけど、何らかの電圧に対して何らかの音程の発信音が出る、というくらいの動作はするはず。はず。
さてスイッチオン。プーーー。完璧です、のこぎり波が聴こえます。完全ディスクリートの単純回路だからかな、SH-101と比べてみても明らかに濁りのあるキタナイ感じののこぎり波です。多分波形はガタガタなんでしょう。鍵盤で操作してみてももちろんちゃんとした音程にはならない。それどころか高い鍵盤のほうが低い音が鳴る・・・・ううむ。発振用のコンデンサの容量を変えると音程も変わる。小さい容量のほうが高音に。ふむふむ、そうだよな。これにV/HzのCVを入れたら演奏出来るんかな??
では次にこれに対数変換回路をつけてみます。ARPタイプの単純なものをくっつけてみました。
http://www.chienowa.org/ca3080/0719-002.gif
こんな感じ。しかし、これを組むにはいくつか注意が必要。まず対数変換回路の二つのトランジスタは完全にマッチングされたものでなくてはならない、次に最初のアースに落ちてる1kの抵抗は温度補償抵抗を使わなくてはならない。これらが完璧でないと正確な対数変換が行われず、出力はオンチな音程になってしまう。で、今回の実験ですが、トランジスタは手持ちのものを調べてみたところ全くマッチングできず、更に温度補償抵抗も無いという最悪の状態で御座います(汗)。まぁとりあえず組んでみよう。スイッチオン。
・・・・・・んー、なんかやりたい事はわかるよ、みたいな? ちゃんと鍵盤の高低に対応して音程が変わってる。VRでオクターブを合わせてあげると、ちょっと心もとないけどギリギリ1オクターブくらいは演奏出来る感じ。それ以上はピュロロロっとどっかに飛んでいってしまうようにチューニングがズレてしまう。このオンチさはトランジスターのマッチングが全く出来てないのが主な原因なのかな。トランジスタを暖めるとやはり音程がフワフワと漂う。ここらへんは温度補償抵抗でマシになるのだろうか。なんにしろトランジスタのマッチングと温度補償抵抗だな。
そういうわけで、頭の中でぼんやりと理解してたことを実際に確認してみた今回の作業でした。トランジスタですが、同ロットの同じ品をマッチングするなら楽なんだけど、PNPとNPNをマッチングするとなるとこれはとても大変です。大変というより運ですな、しかもかなり低い確率の。うーむ、色んなロットを数本づつ細かく買っていったほうがいいのかな。
とりあえず温度補償抵抗などを注文して、次回は別の方式で対数変換回路を組んでみようかと思います。PNPとNPNのマッチングが出来たら今回の回路ももう一度検証したい。音のチェックをしているとき、鳴りっぱなしだと耳がおかしくなるんで取り急ぎVCAを作っちゃうのもアリかなぁ。