SSM2040 FILTERの製作

ca30802005-12-30

わぁ、もう年末なんで急いでまとめなきゃ!
というわけで、実はSSM2040を手に入れたのです。SSM2040と言えば、かの名機prophet-5のRev.1&2に搭載されているフィルターICです。僕はprophet-5を触ったことがないのですが、それでもどんな音が出るかは様々なレコードで耳にして知っている、そんな有名なシンセです。
思い出話ですが、僕が以前使っていたKORGPolySixというシンセサイザーにもSSMのチップが使われておりました。当時はまだ若かったので、そのフィルターの上品過ぎるかかり具合と、なんというかモヤっとした神秘的な感じにあまり馴染めずにいた記憶があります。フィルターを発振させると綺麗にサイン波が出るのですが、原音とサイン波が分離しているというか、音に一体感がないような(それはそれで使い勝手はあるのだけれども)そんな印象でした。レゾナンスを上げると原音が小さくなっていき、変わりに綺麗なサイン波が現れてくるあの感じは、どうやらOTA+負帰還発振タイプのフィルターの特徴らしく、なるほど色々なシンセの回路図を眺めていると、その回路構成と音の印象が頭の中で繋がってきます。
とりあえずSSM2040のデータシートを見てみましょう。
http://www.emulatorarchive.com/assets/PDF/SSM2040.pdf
ふむふむ、OTA+バッファが4回路とアンチログ回路がセットになっているようです。データシートの中にあるElectronic Music Voltage Controlled Lowpass Filterという例が、RJBさんのサイトにあるリポート(http://homepage2.nifty.com/rjb/diy_synthe3.htm)と同じ定数のようです。と、ここまでわかればあとはとりあえずRJBさんの回路図をそのまま組み立ててみることにします(汗)。すべてそのまんまです。RJBさんの書かれた回路図はこちら(http://homepage2.nifty.com/rjb/pdf/rjb_diy_synthe_201a_vcf_ssm2040_schem_revB.PDF)です。RJBさん、いつもお世話になります。
思ったよりコンパクトに蛇の目基板に組み上がりました(写真参照)。専用IC素晴らしい。しかし、なにせデッドストックのICですので動作するかどうかわかりません、おそるおそる電源投入!
おー、音出た!
なるほど。これは上品なフィルターです。なんというか、日本的というか。おしとやかな大和撫子っていう印象ですね。でも情念は渦巻いている、みたいな。言われた仕事は三つ指立てて従います、みたいな。しかし、下手に手を出すと後がめんどくさそうな。スタイナー嬢はあとくされなさそうですけどね。いやしかし、専用ICということもあってか、ツマミの動作範囲も非常に練られていて、まるで商品を触っているようです。予想通りレゾナンスを上げていくとオーディオ信号は小さくなってゆき、代わりにサイン波の発振音が聴こえてきます。まぁパッチシンセですし、これはケースバイケースでゲインを調整してあげるという事にしましょう。アンチログ回路が内蔵されているだけあって、発振音のスケールも全く不安感がありません。もしかしたらテキトーにアンチログったVCOより正確かも。
で、音のほうですが、やはりおとなしすぎというか上品すぎというか、スタイナーフィルターの後に聴くとちょっと物足りないかなぁ、という印象だったのだけれども、いやはやこれも使っているとクセになりますね。透明感と不透明感が共存している感じが素晴らしいです。適当にいじっていても、なんとなく物悲しいフレーズを弾いてしまいます。フレーズを導き出せるほどの個性を持った音が出る楽器というのは重宝すべきですよね、やはり。
現在つくっているモジュールラックには、VCFを収めるスペースがふたつあるのです。もう一台のフィルターがスタイナーだとすると、キャバクラ嬢と箱入り娘という感じで非常にバランスが良く、バリエーションも豊かになると思います。
はい、それじゃぁサンプルサウンドです。


http://www.chienowa.org/ca3080/20051223a.mp3
こんな感じの音です。上品。締まりがいい。スタイナーと比べると大人しいというかカッチリしてます。落ち着いている。この後でスタイナーの音を聴くと、派手だけどちょっと散漫に聴こえます。まぁ、どちらも捨てがたい、ということでひとつ。


http://www.chienowa.org/ca3080/20051223b.mp3
和音を通しても非常に綺麗に通ります。なるほど原音とレゾナンスも分離するわけだ。ちょっとレゾナンスをスイープさせていますがかかり方はあくまでクール。一重まぶたの日本美人な感じですよ。


http://www.chienowa.org/ca3080/20051223c.mp3
多重録音によるストリングス。いやはや、素晴らしい。これだけで相当雰囲気出ます。


http://www.chienowa.org/ca3080/20051223d.mp3
ベースサウンド。フィルターを閉じていくとどうしても低音が硬くなっていきます。ムンムンとした感じにはなりませんがこいういった硬い音色のベースはイケそうです。カチっとしてますねぇ。


http://www.chienowa.org/ca3080/20051223e.mp3
フィルターを発振させたサイン波で作った口笛サウンド。非常に安定してます。当然こんなフレーズを弾きたくなります。



おっと年内にすべてのモジュールが埋まった!!
今年の総括と来年の抱負なんかは、また後ほど!!(正月明けになるかも・・・)